ゲームアカウント売買(RMT)が合法なのか違法なのかという議論は活発です。
特に違法だった場合どの法律が適用されて、どのような罰則があるのかというのは様々な意見が寄せられています。
そこでこの記事では、ゲームアカウント売買は法律的に大丈夫なのか、安全なのかを紹介していきます。
ゲームアカウント売買(RMT)は法律上大丈夫?
アカウント売買を直接取り締まる法律は存在しない
ゲームアカウント売買(RMT)に関する法律ですが、2023年2月現在、直接的に取り締まる法律は日本には存在しません。
つまりゲームアカウント売買(RMT)自体が原因で逮捕されたり、起訴されることはほとんどないと言えます。
ただし、多くのスマホゲームやPCゲームではアカウントの金銭的取引を利用規約として禁止しています。ゲームアカウント売買を行って、金銭の取引が生じた場合には「利用規約・約款」に反しているという状態になります。
利用規約違反に際しての膨大な損害が出た場合には、運営側は「損害賠償請求」を出すことができます。
ただし、ゲームアカウントの売買だけで膨大な損害が出ることは考えづらく、立証するための手間や費用と割りに合わないと考えられます。アカウント売買した個人を直接立件するのは難しいとされているのが現状です。
アカウント売買(RMT)の法律に対する専門家の見解
上記では、アカウント売買は法律的に問題ないと言いました。実際にITに強い弁護士の方の見解も紹介します。
弁護士ドットコムの川添 圭 弁護士は、RMTに関する質問に下記のように述べています。実際のページはこちらです。
RMTで取引の対象となる権利(IDとパスワードの情報)は,それ自体は法禁物(覚せい剤などが典型例です)ではないため,売買契約そのものが当然に無効・取消となるわけではありません。つまり,売買契約は原則として有効と解されます(ネットオークションで出品停止の対象にならないのはそのためです)。
ただし,売買対象となるID・パスワードがフィッシングなどで集められた不正なもの(その利用自体が不正アクセス行為になる)である場合は,その売買契約も公序良俗違反として無効と解してよいと思います。また,不正アクセス禁止法で処罰の対象となるのは,他人のID・パスワードを許可なく冒用することや,冒用目的でこれらを保管する行為などであり,売主自身が作成したID・パスワードをRMTにより売買する行為それ自体は,売主が買主にID・パスワードを利用させることについて承諾があると考えられるため,当然に不正アクセス禁止法違反になるわけでもありません。
なお,例えば,RMTにより取得したアカウントを利用し,キャンペーン企画などを悪用して本来有料のアイテムを不正に多数取得したようなケースでは詐欺に該当する可能性はありますが,そうした犯罪が成立するかどうかはケースバイケースとなります。
また,冒頭で述べたとおり,ゲーム運営会社の規約上はRMTが禁止されていることがほとんどであるため,RMTを行った当事者とゲーム運営会社との関係では,アカウント停止や除名,今後の入会禁止などのペナルティを受ける可能性があることは当然です。
つまり、アカウント売買(RMT)自体に法的な責任が発生するとは考え辛いと言えそうです。
アカウント売買に関する海外の裁判の事例
また、RMT大国の韓国では「リネージュ2」のアカウント売買で裁判がありました。
オンラインゲーム大国である韓国では、営利目的のRMTを禁止する法律が存在する。しかし、韓国ではユーザーが努力と経験を積み重ねて仮想通貨を獲得することはギャンブルではないという最高裁判決が2007年に下されている。(参考:ソーシャルゲーム「換金市場」の実態とは、競売サイトを温床に膨張、日本経済新聞)。
時間をかけたアカウントには対価が支払われるべきであるという判決が下っています。アカウント売買自体を禁止しているのではなく、不当な営利目的でのアカウント売買が罰さられています。
不正ツールやチートは違法
ゲームアカウント売買自体を取り締まる法律は存在しませんが、不正ツールやチートツールを取り扱っての取引は過去に立件されています。過去の逮捕例は下記記事よりご覧ください。
チートなどプログラムを改ざんする行為は、私電磁的記録不正作出として法律で禁止されています。また、チートを使ったアカウントを売買すれば著作権法違反、商標法違反となる恐れがあります。
不正ツールやチートを使った迷惑行為は絶対に行ってはいけません。以下は先ほどの弁護士ドットコムの川添 圭 弁護士の見解を抜粋したものです。
なお,例えば,RMTにより取得したアカウントを利用し,キャンペーン企画などを悪用して本来有料のアイテムを不正に多数取得したようなケースでは詐欺に該当する可能性はありますが,そうした犯罪が成立するかどうかはケースバイケースとなります。(参考:弁護士ドットコム)
アカウント売買に対する運営会社の対応
アカウント停止措置(BAN)
悪質なアカウント売買や著しくゲームバランスに影響を与えると認定された場合には、ゲームアカウントの停止措置(BAN)が取られる場合があります。
これは一時的なものもあれば、永久的なものもあります。不正ツールやチートを使用した場合には、アカウント停止措置が先に取られる可能性があります。
アカウント売買(RMT)は法律的には問題ない
前述のようにアカウント売買(RMT)自体には法律が制定されていませんので、問題ありません。アカウント売買自体の法整備が遅れているからです。
ただし、アカウント売買をする際は、不正ツールやチートが使われていないか、アカウント停止となっても自分で責任が持てるかなどを確認してから行うべきです。
クリーンな取引環境としては、ゲームトレードなどの不正ツールを排除しているサイトが望ましいです。
アカウント売買に関する現状を十分に理解した上で、自己責任で行いましょう。